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「博多雑煮」のユニークな調理スタイル そのアイディアの元になったものとは!?

日本の正月に欠かせない料理、雑煮。「もちを汁で食べる」という基本は日本全国共通していますが、調理方法は地域によってさまざま。

伝承料理研究家・奥村彪生(おくむら・あやお)さんの著書『おくむらあやお ふるさとの伝承料理11 わくわく お正月ともち』によると、東日本では四角い角もち、西日本では丸もち。九州地方は丸もち地帯なのですが、その中でも、丸もちを焼いてから汁に入れる地域もあれば、焼かずに茹でてから汁に入れる地域、丸もちを汁に直接入れて煮る地域もあります。

さまざまな種類がある雑煮ですが、ここ福岡には「博多雑煮」と呼ばれるオリジナルな雑煮が存在します。福岡では、丸もちを焼かないで煮ることが多く、焼きあご(とびうお)でとった出汁に、具は伝統野菜の「かつお菜」、出世魚として縁起が良い「ブリ」を入れるのが王道。そのほかにも、椎茸、かまぼこ、里芋など、とにかく具だくさんなところが特色です。

そして、博多雑煮は、まるで「おでん」のように、具を1人分ずつ竹串に刺して準備しておくというユニークな作り方もあるんです(竹串に刺さないで作る家庭もあります)。

https://youtu.be/Fk8JCm4lQME(博多雑煮の作り方by福岡チャンネル)
https://youtu.be/Fk8JCm4lQME(博多雑煮の作り方by福岡チャンネル)


実は、この調理スタイルが生み出された背景には、福岡の歴史が深く関わっています。

昔から、博多商人の町として知られていた福岡ですが、そんな彼らを支えたのが、“ごりょんさん”の存在。ごりょんさんとは、貴人の妻への敬称「御寮人(ごりょうにん)」に由来し、博多商人のおかみさん達をこう呼びます。

来客も多く、商売に忙しい商家では、雑煮の準備にも手間をかけてはいられません。そこで、思いついたのが、前もって具を1人分ずつ串に刺しておくこと。こうしておけば、あとは具材を串から抜いて、椀に入れ、最後に出汁をかけるだけで良いので、年始の挨拶に来る大勢の客人にも、手早く振舞えるというわけ。忙しいごりょんさんたちのアイディアです。


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他地域からの移住者も増加傾向の近年は、伝統的な博多雑煮を一度も食べたことがない福岡市民も増えているのだとか。今年の正月は、博多商人を支えたごりょんさんたちに思いを馳せつつ、地元の特産物をたくさん入れた博多雑煮を、ご家庭で味わってみてはいかがでしょうか。


【参考文献】
『おくむらあやお ふるさとの伝承料理11 わくわくお正月ともち』(農山漁村文化協会刊)



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