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1億円資金調達でも話題 世界にはばたく福岡発スタートアップとは!?

近年、急速にその規模を拡大している、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場。最新の国内市場規模予測によれば、平成27(2015)年度は前年比69.1%増の2,930億円、平成31(2019)年度には7,159億円に達する見込みです(MM総研IoT市場規模予測)。

福岡市でも、IOT開発拠点を目指して平成27(2015)年3月に電波法の規制緩和を提案しベンチャー企業の積極的な参入を促しているところですが、そんな活況を呈す福岡のスタートアップ界隈に今年1月、ビッグニュースが飛び込んできました。

福岡発のIoTスタートアップ企業「株式会社スカイディスク」が、ベンチャー投資ファンド数社から総額1億円の調達に成功。福岡のIoT市場を賑わす旗手として注目を集めています。

では、スカイディスクは、一体どんなサービスを展開しているのでしょうか?福岡市内のオフィスにお邪魔し、代表を務める橋本司さんにサービスの解説から今後の展望まで熱く語っていただきました。

――まずは、御社のサービス内容を教えてもらえますか?

橋本 スカイディスクのサービスには、2本の柱があります。まずひとつ目の柱は、センサデバイスの開発です。温湿度、照度、加速度などの計測ができるセンサを合計14種類開発し、同時に最大4種類まで搭載できる着脱式のセンサデバイスを作り製品化しています。誰でも簡単にセンサの取り外しができ、温度と加速度などこれまで同時に扱えなかったデータを取得できるのがこのデバイスの特徴ですね。

そしてふたつ目の柱は、センサからクラウドに送られ蓄積されるデータを一元管理し分析する技術です。AI(人工知能)を用いて自動で学習しながら必要なデータを分析し、その変化を読み解きます。このふたつの柱を組み合わせて、これまで数値化できなかった生の情報を「見える化」し、分析と改善提案に役立てることができます。

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――なかなか専門的はお話ですが……具体的に、その技術はどのように使われているものなんでしょう?

橋本 そうですね。例えば、高齢者の「見守り」です。私の義母はひとり暮らしをしていて「見守り」の必要があるんですが、これまで製品化されているものの中で実用的で使いやすいものはなかなかなく、私自身困っていました。計測自体が甘くて義母の様子が把握できなかったり、逆に常時監視カメラでは情報量が多すぎてチェックしきれなかったり。そこで、トイレのドアに当社のデバイスを設置し、ドアの開閉や温湿度の変化、滞在時間などを計測してクラウド上にデータを蓄積できるようにしました。すると、センサが集積したデータをもとに生活パターンを分析し、異常があればスマホなどのデバイスで確認できます。1週間もあれば、AIにより義母特有の行動パターンを学習し、トイレに行く回数が通常より少なくなった、などの細かな情報を把握できるんです。

――それは便利ですね!これらを実現可能にしている御社のコアテクノロジーはどこにあるんでしょう?

橋本 私はもともと、長崎大学工学部を卒業後、システム開発の会社を立ち上げて業務システムを作ったりしていました。IT業界に身を起きながら、クラウドの大きなブームが来ることを感じ、自分も他には負けない強みを持とうと考えて九州大学に入り直したんです。そこで、高速分散処理のデータ分析を研究しました。しかし大学の研究は、すでに揃っているデータを扱う場合がほとんどでした。実社会で何かの課題を解決するためには、そもそもデータがない状態から始まるわけですよね。そこで、データを取得するセンサから、自分たちで開発する必要が出てきました。こうして、一度社会に出て企業の役割をよく理解しながら大学の研究を深められたことで、センサから分析までの一貫したサービスを提供できるようになりました。そして、今、それが当社の強みになっていると思っています。

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――現在、御社ではどんな分野に力を入れられているのですか?

橋本 農業、流通、環境の3分野に注力しています。まず農業分野では、「畑守(はたもり)」というサービスの提供がすでに始まっています。これは、温度や日照時間、CO2量などに影響を受けやすいトマトづくりの現場で、生産を計画的にコントロールするセンサとして使われています。また、流通分野では、荷物に小さなセンサを搭載することで、温度管理が厳格な荷物の状態管理や、万一の紛失時の早期発見にも役立てることができます。そして環境分野では、微粒子を検知するセンサを用いて、福岡では特に問題視されているPM2.5の計測などでサービスの準備をしています。

――幅広い可能性がある事業ですね。その将来性も評価されて今回1億円を調達されたのだと思いますが、率直な感想を聞かせてください!

橋本 会社設立時から、将来的には資金調達が必要になると考えて、ベンチャーキャピタル(投資会社)まわりのネットワークづくりは積極的に行ってきました。それが実を結んだことは嬉しいですし、安心してもいます。でも、調達はゴールではなく、あくまでスタートですよね。1億という額自体は、過大でも過小でもない、いまの私たちの身の丈にあった評価額だと思います。サービスを一気に拡大展開していくためには、どうしてもいまの時期に資金調達が必要だったので、これからスタートダッシュできることにわくわくしています。

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――福岡で創業し、福岡を拠点に展開していくことのメリットはどう考えてますか?

橋本 まずは、住みやすさです。生活コストも安いし、QOL(生活の質)の高さは福岡ならではでしょう。それに、ビジネス的にもメリットがあります。私たちのようなIoTサービスは、福岡だけの市場を相手にしても限界があるので、自然と対アジア、対アメリカに目が向きます。東京にいると、都内とその近郊にいる顧客に向けたサービスに注力してそこに埋没してしまうかもしれませんから、外に出て行かざるを得ない福岡は、逆に私たちにとってはいい環境だと思います。

――では最後に、福岡から羽ばたくスタートアップとして、今後の抱負を聞かせてください。

橋本 私たちのミッションは、センサと分析により、これまで数値化できていなかった部分を数値化し、よりよい状態に変えていくことです。スカイディスクの社名の由来は、天体のありかを指し示す世界最古の天文盤「Nebra sky disk」からきているんですが、私たちも、クラウドの宇宙のありかを指し示す羅針盤のような存在になれたらと思っています。


【プロフィール】
橋本司(はしもと・おさむ)さん
株式会社スカイディスク代表。1975年北九州市生まれ、長崎大学工学部卒。2003年、システム会社を設立し、業務システムの開発を担当。2009年に九州大学システム情報科学府博士課程に入学し、統計的手法に基づいたデータ分析技術を研究。2012年、データ分析専門の会社として株式会社ネビラボを設立。さらに、センサデータに特化した株式会社スカイディスクを2013年に創業。

【関連リンク】
https://skydisc.jp/

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