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『伝え方が9割』著者が語る、福岡の魅力の“上手な伝え方”とは?

福岡県の観光プロモーションの一環として配信され、話題となっているWEB小説『ぴりから』。福岡出身の起業家・堀江貴文さんや2015年直木賞受賞作家の東山彰良さんほか、福岡好きを自認する総勢7名の著名人が、福岡を舞台に執筆するリレー小説で食・歴史・文化など福岡の多様な魅力を発信中です。

同小説は、地方自治体の新たなPR手法としても注目を集めましたが、この企画の仕掛け人は、7人の書き手のひとりでもあり、福岡県PRのクリエイティブ・ディレクターを務める佐々木圭一さん。コピーライターとしての経験を生かし“伝え方”のコツを公開した著書『伝え方が9割』は、シリーズ累計85万部を突破した大ベストセラーです。

今回はそんな“伝え方”のプロである佐々木さんに話をお聞きしました!

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■ご当地小説『ぴりから』に学ぶ、福岡の良さの“伝え方”

まず、いろいろ選択肢がある中で、なぜプロモーションにWEB小説という思い切った手法を取り入れたのかを佐々木さんに聞いてみました。

「観光プロモーションと言うと、ここ数年、各地の自治体では趣向を凝らした観光PR動画を作る傾向があるじゃないですか。でもね、僕は最初から『おもしろ動画だけは作らないぞ』と決めていたんですよ。結局、おもしろ動画を作っても、再生回数・PV数を競うだけで終始してしまうかなと……まぁ“同じ土俵”で戦わず、新しいチャレンジをしたかったのです。

とにかく従来とは異なる、まったく新しいスタイルでPRをしたかった。もちろん、ドストレートに『福岡いいよ!』と言っても伝わりませんから“伝え方”の切り口はひねらないといけない……。そう考えたときに思いついたのが、WEB小説という形でした。折しも、小説『火花』の芥川賞受賞で又吉直樹さんが大ブレイクしたタイミング。福岡の魅力を織り込んだ“ご当地小説”という形にすれば、普段小説を読まないような若い世代にも、アピールしやすいのではないかと考えたんです」(佐々木さん)

各地の自治体との差別化を図りつつ“伝えやすさ”を重視した結果がWEB小説とのことですが、その中では福岡ならではの苦労もあったようです。

「福岡は魅力がありすぎて、逆に困っちゃったんですよ。PRする側にしたら、むしろ魅力がコレひとつしかない、という方が伝えやすいですね。たとえば香川だったら『うどん県』ってズバリ言い切れるでしょう(笑)。だけど、福岡は魅力がたくさんあって絞れない。食べ物も美味しいし、住みやすいし、歴史もあるし、美人が多い、ポイントをひとつに絞るのが難しかったんです。

だから、僕を含めて、書き手にキャスティングした7人―――起業家の堀江貴文さん、モデルの田中里奈さん、放送作家の鈴木おさむさん、大ヒット小説『ビリギャル』著者の坪田信貴さん、アナウンサーの小林麻耶さん、直木賞作家の東山彰良さん――それぞれが感じた福岡の魅力を、自分の言葉で語ってもらった方が伝わるのではないかと思いました。ここがポイントなんですが、書き手のみなさんは福岡出身者だけじゃなく、他の県出身の方にもあえて頼んでいます。だから“前のめり”になり過ぎず、書き手それぞれが自然に感じた福岡の良さをストーリーに乗せられているんですよね。どれも読み終えたら、きっと福岡に行ってみたくなる内容になっているかと」(佐々木さん)

■伝えるには、相手のことを想像することが大切

福岡の人は地元愛が強すぎるあまり、他の地域の人に地元自慢をしがち。佐々木さんは、そんな福岡の人々は、もはや県民、市民の存在そのものが“メディア”であると指摘します。その上で、福岡の魅力を上手に(鬱陶しがられずに)伝えるポイントについて、こう語ります。

「たしかに福岡の方とお話していると、たまに『そこまで(福岡愛を)語らなくていいのに』と思うこともあります(苦笑)。人に何かを伝える際、一番大事なポイントは、『自分が言いたいことをどう言うか?』ではなく、伝える相手のことをもっと考える、つまり『自分よりも相手のことを想像する』ことです。キャッチボールにたとえるなら、相手に受け取ってもらうためには、仮に剛速球を投げる力を持っていたとしても、相手がキャッチしやすいところに投げてあげるということ。その視点を持って相手に接するだけで、もっとシンプルに、福岡の魅力は伝えられると思います」(佐々木さん)

福岡の魅力をいかに伝えるか――その極意は、我々#FUKUOKA編集部にとっても知りたい話。最後に、佐々木さんから編集部に向けてこんなアドバイスをいただきました。

「伝えたいことを浸透させるには、それなりの年月をかけて続けることが大切です。発信する側って、いつも同じようなことやっていると飽きてしまいがちですが、そこは忍耐が必要です(笑)。もちろん、短期間で効果的なやり方を考えるのも必要ですが、何事も1回きりで終わらせないこと。だから、福岡の魅力をとにかくシンプルに発信し続けることが大事なのではないかと思います」(佐々木さん)

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【プロフィール】
佐々木圭一(ささき・けいいち)
1972年、神奈川県生まれ。上智大学大学院を卒業後、97年株式会社博報堂に入社。同社を退職後に独立し、2014年に株式会社ウゴカスを設立。コピーライター、上智大学非常勤講師として活躍するほか、2015年より、福岡県PRのクリエイティブ・ディレクターに就任。著書に『伝え方が9割』『伝え方が9割2』(いずれもダイヤモンド社)がある。
 

【関連リンク】
福岡WEB小説『ぴりから』
http://pirikara.jp/pc/

伝え方の秘密
佐々木圭一オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/sasaki9wari/

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