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博多雑煮のうまさの要 “あごだし”ファンは日本から世界へと広がる?

日本の新年の食卓に欠かせない雑煮。ここ福岡ならではの「博多雑煮」は、博多商人文化をルーツに持つ逸品です(過去記事参照:博多雑煮のユニークな調理スタイル そのアイディアの元になったものとは!?)。

そんな福岡の雑煮のだしに昔から使われていたのが「あごだし」。

「あご」とは、福岡県や長崎県など北九州地方を中心に獲れる「飛び魚」のこと。また、“あごが落ちるほど美味”ゆえに「あご」と呼ぶようになったという俗説もあるのだとか。

福岡では、このあごをそのまま乾燥させてだしに使うほか、炭火で焼いてから干した「焼きあご」は、主に正月用の高級食材として使われてきました。焼きあごで取っただしは、ほのかに甘味があり、上品で雑味が少なく、深い味わいが特色。最近では、あごだし人気も全国区となっているようです。

そこで近年にわかに脚光を浴びているのが、手軽にあごだしを楽しめる焼きあご入りのだしパック。ティーバック状のパックに、粉砕した焼きあごだけでなく、昆布や鰹節など数種類の素材をブレンドしたタイプが人気となっているそう。

そんなパックタイプのなかでも、明治26(1893)年創業の、福岡県糟屋郡の老舗醤油メーカー「久原本家」が展開する「茅乃舎(かやのや)」の「茅乃舎だし」は、口コミでジワジワとファンを増やし、全国にある店舗は連日大賑わい。インターネット等でも好評のようで、全国にファンが増殖中だといいます。

「子どもの頃からうまいものは散々食べてきた」と豪語する北海道釧路市出身の30代男性も、茅乃舎だしを大絶賛します。

「このだしでおかゆを煮たのですが、他に何も入れなくても充分美味しい。何も具を加えず、塩味を足しただけで本当にうまいんですよ! うちの地元も最高の海産物を味わえますし、昆布だしなども至高。正直、北海道は日本最高のグルメ天国だと思っていましたが、このだしに出会ってからは、少しだけ考えを改めざるを得なかった(笑)。マジ、やばいです」(東京在住30代男性会社員) 

こちらのあごだしパック。だしを取る以外にも、パックを破って中の粉末を取り出し、塩コショウなどの調味料の代わりに炒め物に振りかけたり、チャーハンやパスタの具に混ぜたりするなど、和・洋・中さまざまなメニューに応用する人もいるようです。

こうしただしパックであごの美味しさに目覚めた人の中では、一歩進んで、煮干し状のあごを利用する人も増えているとか。ひと手間を加えて、フライパンで乾煎りしてから煮出せば、ご家庭でも焼きあごの香ばしい風味が味わえるでしょう。

もし煮出すのが面倒な場合は、容器にあごと水を入れて冷蔵庫で一晩寝かせれば、水出しも可能です。できあがっただしは、製氷皿に入れて冷凍して「だし氷」にすれば、少量だけ利用したいときに便利。ただし、長期保存すると風味が落ちてしまうため、1~2週間で使い切るようにしましょう。

そして、だしを抽出したあとに残った身にも栄養は残っているので、ほぐして佃煮やふりかけにしたり、オリーブオイルで炒めておつまみにしたりと、賢く再利用することもできます。

さらに、だしパックの派生商品で、その意外性で注目されているのが、そのまま飲める“だし缶”です。

東京・羽田空港内の自動販売機限定で販売中の「飲む博多だしスープ やまやのうまだしスープ缶185g」は、やまやの辛子明太子でおなじみ、福岡市東区の企業「株式会社やまやコミュニケーションズ」が開発した商品。

同社では、「博多の幸 うまだし」というだしパックも販売していますが、この“だし缶”は、より手軽に味わってほしいという意図から開発した商品で、焼きあごの風味が手軽に味わえると、人気を呼んでいます。

このように多様な商品が派生しているあごだしですが、ここ数年のだし業界の動きで目覚ましいのが、海外進出を視野に入れた潮流です。

たとえば、「あご入兵四郎(ひょうしろう)だし」で知られる、福岡県内の食品メーカー「株式会社 味の兵四郎」は、昨年4月にすでに、シンガポール直営店をオープン。また、アジア圏だけではなくアメリカでの催事販売も行うなど、戦略的に海外展開を行っています。

一方、「茅乃舎」も、アメリカのオンラインショッピングサイトをオープンするなど、海外展開を進めています。

近年の和食ブームを追い風に、国境を越えつつある福岡発のだし文化は、相乗効果で海外での和食レベルを格段に上げる可能性もありますし、もしかしたら海外の新たな食文化と融合して、今までにないだしの魅力を教えてくれることになるかもしれません。

これから福岡発の九州あごだし文化は世界でどう受け入れられるのか。今年の正月は、そんなことを考えながら、博多雑煮を食べてみてはいかがでしょうか?



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