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【特別寄稿】BuzzFeed日本版編集長・古田大輔氏 「ローカルから始まる、情報発信革命」

ブログやSNSを通じて誰もが気軽に情報発信できるようになった現在、情報の精度や信頼性が発信後の波及力に大きく影響するようになりました。そんな中、独自取材と鋭い切り口で平成28(2016)年の開設から着実に支持を集め、急成長を遂げたWebメディアが、編集長・古田大輔さん(写真右下)率いるBuzzFeed Japanです。

実は古田さん、「最後にどこに住みたいか?」と問われれば、迷うことなく福岡と答えるというほどの福岡びいき。7月8日(土)に福岡市が主催するクリエイティブ人材のU/Iターン支援プロジェクト「福岡クリエイティブキャンプ(FCC)」に登壇し、故郷・福岡について思いの丈を存分に語る予定とのこと。

世界最先端のニュースを日々扱い、世の中にポジティブなインパクトをもたらしているBuzzFeed Japanの編集長が、日本のローカル都市・福岡に感じている可能性とは? そして、福岡をはじめとした地方都市から日本や世界へと情報発信をしていきたい人が持つべき視点とは? イベントに先駆けて、古田さんから#FUKUOKAにいただいた特別寄稿をお届けします。

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福岡でメディアを立ち上げるしかない理由

#FUKUOKAから「福岡についてインタビューしたい」との依頼がありました。出張中だったため、寄稿という形になり、ロンドンで書いています。

ちなみに世界的な経済・文化の中心地として知られるロンドンですが、規模を知ってますか? 人口860万人(1,572㎢)。福岡県は500万人(4,971㎢)。そんなに大きな差ではありません。

挨拶が遅れましたが、私は生まれも育ちも福岡市東区箱崎。博多祇園山笠が唯一校内に入ることで知られる(知られてないか)福岡高校の出身です。

大学は東京で、朝日新聞に記者として入社後も3年ほど福岡で勤務。その時は薬院と祇園に1年半ずつ住みました。

BuzzFeedというニューヨーク生まれのメディアが日本に進出する際に「日本版の編集長にならないか」と誘いを受けて平成27(2015)年に転職し、今は東京に住んでいます。あぁ、福岡に住みたい。

なぜ、福岡を愛し、住みたいと思うのか。食べ物、風土、気質、規模のちょうどよさ(歩ける範囲であらゆるものが揃う!)、そして、自分が生まれ育った土地という安心感。

だけではありません。

メディアで情報発信をする人たちにとって、可能性に満ちた土地ではないかと思うからです。

 

東京に一極集中するメディア

日本のメディアは東京に集中しています。テレビも新聞も雑誌もネットも。主要なメディアは東京中心で、東京の話題を日本全国に発信しています。

もちろん、西日本新聞のようなブロック紙・地方紙、福岡ローカルのテレビ局や雑誌もあります。でも、まだまだ発信すべき情報があるのではないでしょうか。特に、ネット上に。

日本のインターネットユーザーはすでに1億人を超えています。20〜30代の多く、いわゆるミレニアル世代は呼吸をするように、スマホで情報を得ます。

ニュースサイトや情報アプリだけじゃない。フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、LINE...。ソーシャルメディアやメッセンジャーも情報源になっています。そして、情報はそのネットワークを通じて、シェアされ、拡散していく。

バズフィードは10年前に生まれ、ニュース&エンターテイメントメディアとして本格的に活動を始めたのはわずか5年前ですが、ソーシャルメディアでの拡散を通じて一気に世界最大規模のメディアの一つにまで急成長しました。

新聞、テレビ、雑誌、ラジオ、ネット。福岡のメディアはこのソーシャルの力を十分に活用できているでしょうか。

昨年末、東京でウェブメディアを中心に活動しているライターが集まるイベントが開かれました。東京ではこういうイベントがしょっちゅう開かれています。

そこに福岡から参加している方がいて、こんなことを言っていました。

「福岡にはこういうイベントがあまりない。メディアは紙媒体の力が強く、ネットはまだまだこれから」

今春、福岡で開かれたイベントにゲストスピーカーとして呼ばれた際も、同じような声を複数のライターの方からうかがいました。

 

福岡発信で世界でバズるチャンス

これって、チャンスなんだと思います。レッドオーシャン化する東京ではなく、まだまだこれから発展する福岡でネットメディアを成長させていく。

ネットには県境も国境もありません。どこが中心かという概念すらない。

昨年、オバマ大統領(当時)が広島を訪問した際、バズフィードは広島の人たちにオバマ大統領に伝えたいメッセージをホワイトボードに書いてもらい、記事にしました(「核兵器なくして!お願い!」 オバマ大統領に言いたいことを、広島で聞いた https://www.buzzfeed.com/jp/eimiyamamitsu/hiroshima-whiteboard-post?utm_term=.pnd1wEeXwl#.yoVvDJdxDA)。

その記事を英訳して配信すると、アメリカを中心に多くの人が共感し、シェアしてくれました。広島からの発信が世界で拡散しました。

福岡は話題が豊富です。福岡に住む人たちだけでなく、全国の人たち、世界の人たちが知りたい情報がある。観光客の数だけ見ても、福岡市で年間2,000万人いるんですから。

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(今回のヨーロッパ出張では、ウィーンで開かれた世界的なメディアイベントGEN Summitにも参加。「フェイクニュース」とどう戦うかを議論しました)

 

そのビジネスは成り立ちますか?

最後に一つ注意をしておきたいことがあります。良いことばかりではないということです。

メディアは収益を安定させることが難しい。東京よりもずっと規模が小さな福岡では、やり方をよく考えないといけません。

冒頭で規模があまり変わらないと言いましたが、あれは統計の見方によります。人口の集中地域に区切った別の統計で見ると、福岡の人口規模は世界190位(264万人)。1位の東京・横浜(3,790)万人、34位のロンドン(1,047万人)などよりもずっと下です。

課金型でも、広告型でも、しっかりと情報発信をするメディアとなる=ライターに報酬を支払えるメディアになるためにはビジネス面でのしっかりとした戦略が必要です。

東京にはそのようなネットメディアが生まれています。でも、東京だけでいいんでしょうか?

ローカルメディアの存在は、その地域にとって大切です。東京発信の情報ばかりなんて、福岡の人にとっては残念ですよね。渋谷の情報もいいけれど、天神の情報が欲しいですよね。

 

福岡でやらねば、どこでやる

もし、福岡という恵まれた土地でローカルのネットメディアが成り立たないとしたら、東京以外のどの都市でも成り立たないのではないでしょうか。

地域を盛り上げるローカルのネットメディアの成功モデルを福岡で作り上げる。これは日本の全ての都市を勇気づける、ひいては日本のためになる事業だと思います。

最後の最後にもう一つ。メディアにおけるビジネスモデルの大切さに触れましたが、メディアはお金が全ての世界ではありません。

メディアが発信する情報は、それを受け取る人たちにとって知的・精神的な健康を養うための食料のようなものです。人の健康を害する料理をつくる食堂なんて許されないですよね?

バズフィードのモットーは「人々の生活にポジティブな影響をもたらすこと」です。

福岡発のそういうローカルなネットメディアのモデルが、日本の多くの都市に広がったら、最高ですね。

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いかがでしたでしょうか? 7月8日(土)に開催される「福岡クリエイティブキャンプ2017キックオフイベント」では、上記のような問題意識を踏まえ、古田さんに福岡のこれからの可能性を語っていただく予定です。興味を持たれた方は、ぜひ気軽にご参加下さい。

 

【関連リンク】
福岡クリエイティブキャンプ2017キックオフイベント
日時:7月8日(土)13:00〜16:30
場所:DIAGONAL RUN TOKYO(東京都中央区八重洲2-8-7 福岡ビル4F)
http://fcc.city.fukuoka.lg.jp/event/2063/



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