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東京餃子通信の編集長が、餃子のルーツを求めて食べ歩いた福岡の餃子屋11店

「東京餃子通信」という餃子専門サイトを運営している塚田亮一と申します。東京をはじめとして全国各地で日々餃子を食べ歩いているのですが、最近、特に気になっているのが福岡の餃子です。

日本の餃子の歴史を調べてみると、戦後満州からの引揚者が中心となって、独自の餃子文化を形成してきたことがわかります。宇都宮や浜松、福岡など全国で有名な餃子タウンは、いずれも当時、軍の重要拠点があったり満州への開拓団を多く出していた地域。中でも福岡は、満州や朝鮮半島からの引揚港として国内最大だった博多港があります。福岡が日本の餃子の歴史の発端を担っているのではないか?と考えるようになりました。

今回は、日本の餃子の歴史を紐解くべく、実際に福岡で餃子を食べ歩き。ひとくち餃子に必ず入っている「あの野菜」のことや、いまや全国区の知名度になった「鉄なべ餃子」の誕生秘話など、現地に行って実際に食べ歩いてみないとわからない福岡餃子の魅力を知ることができたので、ここで一挙にご紹介しちゃいます。最後まで読んだらすぐに福岡の餃子を食べたくなること間違いなし。

そんな餃子食べ歩きの旅のスタートです。

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(ついに来た! 中洲の屋台)

【1軒目】
味の決め手は玉ねぎ、元祖福岡ひとくち餃子
「宝雲亭」(中洲)

福岡県福岡市博多区中洲2-4-20
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40000125/

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まずは中洲の餃子専門店「宝雲亭」でスタート。福岡のひとくち餃子の元祖と言われています。満州から引き揚げてきた初代店主が、現地の水餃子をヒントにひとくち餃子を作り始めたのだとか。その後、九州各地に広がった暖簾分け店などを通じて、ひとくち餃子の普及に大きな影響を与えました。有名な長崎の「宝雲亭」もこちらの暖簾分け店です。
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元祖ひとくち餃子だけあって、餃子の小ささにまず驚きます。一般的な餃子の半分あるかないかといったぐらいの大きさ。サイズは小さいですが焼き目は強めにカリッとした状態に仕上げられていて、存在感は抜群。

次に驚かされるのが餡に使われている野菜。口に入れるとカリッとした食感の奥から玉ねぎの甘みが一気に口の中に広がります。一般的な餃子にはキャベツか白菜が使われていますが、福岡の餃子は戦後間もない時代から玉ねぎがメインで使われているそうです。隣接する佐賀県が国内有数の玉ねぎの産地だということも影響しているのかもしれませんね。

さらに「宝雲亭」は牛と豚の合挽肉を使っているのも特徴。豚肉だけでなく旨味の強い牛肉を加えることで、玉ねぎの甘みに負けない餡の風味のバランスを取っています。

素材の味を活かしたシンプルな味付けなので、酢醤油と柚子胡椒をつけていただきました。この柚子胡椒も福岡の餃子を語るうえでは欠かせないアイテムですね。柚子胡椒で食べるひとくち餃子はビールとの相性抜群。みるみるうちに餃子もビールも胃の中に消えていきました。

【2軒目】
昔ながらのフンワリひとくち餃子
「馬上荘」(西新)

福岡県福岡市早良区西新1-7-6
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400203/40000268/
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続いては中洲から地下鉄で数駅離れた西新へ。西新駅から歩くこと10分ほど、中州の繁華街の雰囲気とは対照的な住宅街の中にある餃子専門店「馬上荘」に到着しました。

決して恵まれているとは言えない立地ですが、創業60年強のこの「馬上荘」は、いつも福岡のひとくち餃子を愛する常連客で賑わっています。かつては西鉄ライオンズの選手たちも贔屓にしていたのだとか。

カウンター席に着席し餃子を注文すると、二代目のご主人とその娘さんが見事なコンビネーションで餃子を作り始めます。娘さんがものすごいスピードで皮を伸ばすと、ご主人が一つひとつ丁寧に包み、鉄鍋で焼き上げてくれます。この一連の流れる様な共同作業をカウンター越しに眺めているだけで、焼酎が一杯いけちゃいます。
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「馬上荘」の焼き餃子は、他では類を見ないほどフンワリと優しく包まれ、しっとりとした柔らかい焼き加減で仕上げられています。手延べ皮の特徴をよく活かした餃子です。そして、餡を美味しくするポイントは、牛豚の合挽肉と一緒に練り込む玉ねぎの水分を徹底的に絞りきることなのだとか。大変な作業ですが、この一手間が餃子に独特な甘みをもたらすのですね。
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レバテキやニラとじなど、福岡の屋台や居酒屋の定番メニューも充実していて、ディープな福岡グルメを楽しむのにもオススメです。

【3軒目】
ひとくち餃子と手羽先で乾杯
「旭軒」(博多)

福岡県福岡市博多区博多駅前2-15-22
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400101/40000204/
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福岡の方にオススメを尋ねると必ず名前が挙がるのが、博多駅前にある餃子専門店「旭軒」。昭和29年に屋台で始まった「旭軒」のひとくちサイズの餃子は博多の顔の一つと言っても過言ではありません。

午後3時という変則的な開店時間にお店に向かうと、出張のサラリーマンや観光客と思われる先客がカウンター席に座り、餃子とビールで一杯始めていました。
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「旭軒」の餃子の特徴は、まずその皮。職人さんが一枚一枚手延べで、とても薄く仕上げます。モチっとした食感を残しつつサクッとした食感も出るのは皮と焼き手の両方のレベルが高い証拠。他のひとくち餃子のお店と同様に合挽肉と玉ねぎで餡を甘めの味に仕上げています。
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「旭軒」では水餃子も楽しんでほしいです。小ぶりで薄く伸ばした皮は適度な弾力を保ちながらもつるつるっとした麺のような喉越しを演出していて、これがまた旨い。酢醤油をつけて食べるとあっという間に胃袋に消えていきます。
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さらに、「旭軒」で忘れてはならないのがカウンターに山盛りにされている手羽先。作り置きなので冷えて少し乾いているのですが、逆に旨味が凝縮されているように感じるから不思議。餃子が焼きあがるまでの間のつまみとして、とても良い仕事をしてくれます。

【4軒目】
福岡市民に愛されるローカルチェーン
「テムジン大名店」(大名)

福岡県福岡市中央区大名1-11-4
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40000199/
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続いては地元民であれば誰もが知っている餃子専門店「テムジン」へ。赤い頬をしたチンギスハンがトレードマークの「テムジン」は、ひとくち餃子を福岡に定着させた功労者として必ず名前があがる、ローカルチェーン店です。

昭和38年の創業以降、福岡の餃子店としては珍しく多店舗展開をすすめ、現在では東京、大阪を含め13店舗で福岡スタイルのひとくち餃子を提供しています。今回訪れたのは「テムジン」創業の地でもある大名店。全国のテムジンを代表する店舗です。

「テムジン」の焼き餃子は、手延べの皮でふんわり包まれしっとりと柔らかめに焼き上げられていて、どことなく「馬上荘」の焼き餃子に似ています。
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「テムジン」のしっとりとした皮はそれぞれの店舗で手作りされているのですが、餡は本社工場で一括製造。餡のレシピは門外不出で各店舗の店主クラスであっても詳細なレシピはわからないのだとか。餡に使われている野菜は、これまた玉ねぎ中心なのですが、肉には合挽肉ではなく牛ひき肉のみを利用。このため餃子の餡からはとても強い牛肉の旨味が感じられます。
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(手延べ皮で丁寧に餃子を包む)
さらに、「テムジン」は水餃子もかなりの実力派。水餃子用にやや厚めに皮を仕上げているので、モチモチした弾力も楽しめます。さっぱりとした味付けでお酒を飲んだ後の締めに最適な餃子です。
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【5軒目】
屋台でひとくち餃子を食べるなら
「武ちゃん」(中洲)

福岡県福岡市博多区中洲一丁目 清流公園
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40041197/
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再度中洲に戻り、餃子専門屋台へ。屋台はどこも遅い時間まで営業しているので、2軒目や3軒目で使えるのが嬉しいですね。

福岡で餃子が流行り始めた昭和20年代、30年代には博多駅周辺に多くの餃子屋台が存在し、満州からの帰還者などを中心に大変な人気を博していたそうです。そんな当時のような屋台スタイルの餃子が食べられるのが「武ちゃん」です。

「武ちゃん」のご主人は、1軒目の「宝雲亭」で長らく修行をされた実力派の餃子職人。ダジャレが多いですが餃子の腕は確かです。
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注文が入るとご主人が手際よく餃子を包み始めます。焼きもカリッときつね色に仕上げています。屋台だからといって餃子作りに一切の妥協はありません。この餃子に柚子胡椒をつけて頬張ると、カリッとした食感のあとから玉ねぎの甘みが口の中にふわっと広がります。「宝雲亭」の餃子よりも野菜を多く使い味付けもさっぱりと仕上げています。同じ流れを汲むひとくち餃子でも、食べ比べてみるとお店ごとの違いが明らかなのが面白いですね。
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(念願の中洲屋台×餃子の組み合わせにニヤける私)
昭和ノスタルジーに浸りながら屋台で食べる餃子は、美味しさ倍増。さらに福岡の屋台の定番料理ニラとじも絶品。たっぷりのニラとごま油の香りがお酒をさらにすすめてしまい、締めのタイミングを逸してしまうのが危険です。
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【6軒目】
全国区の知名度をほこる熱々餃子
「鉄なべ 荒江本店」(荒江)

福岡県福岡市早良区荒江3-10-4
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400203/40000191/
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次に紹介したいのが鉄なべ餃子。荒江にある老舗店「鉄なべ 荒江本店」にうかがいました。

今や福岡を代表する餃子として全国に広まる鉄なべ餃子ですが、実はお隣の北九州市が発祥の地。当時、東京で流行っていた熱々の鉄板に乗ったナポリタンをヒントに、北九州市の折尾駅前の餃子店で鉄なべ餃子は生まれたのだとか。そして、その店で働いていたのが現在の「鉄なべ 荒江本店」の店主の祖母にあたる方。昭和37年に福岡に戻り、旧博多駅前の祇園付近で鉄なべ餃子の屋台を始め、その後、現在の場所にお店を構えたそうです。
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(創業時の鉄なべ。右の写真は、当時の博多駅のようす)

「鉄なべ 荒江本店」の餃子は全てが手づくり。一つずつ手で伸ばした皮で豚肉にキャベツ、ニラ、ネギを使ったシンプルな餡を包み込んでいます。これまで紹介してきたひとくち餃子とは異なり、玉ねぎメインではありません。
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鉄なべの上でたっぷりの油を使って揚げ焼きにされた餃子はカリッカリ、さらに焼き面の周りにはパリパリの羽をまとっています。これ以上クリスピーな餃子には出会ったことがないかもしれません。
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(熱々の鉄なべ餃子をハフハフ頬張る私)
鉄なべの保熱効果でいつまでも熱々で食べられるので、お酒を飲みながらゆっくりと楽しみたい餃子です。

【7軒目】
本格ひとくち餃子が楽しめる居酒屋
「ぎょうざ一番」(藤崎)

福岡県福岡市早良区弥生1-4-1
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400203/40004350/
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さてその次は、藤崎にある「ぎょうざ一番」。創業30年の居酒屋スタイルの餃子店です。1階、2階を合わせて100席もある大箱のお店ですが、遅い時間に入ったにも関わらず、かなりの席が埋まっているという人気っぷり。
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「ぎょうざ一番」の餃子ラインナップは、

  • 焼き餃子
  • えび焼き餃子
  • いか焼き餃子
  • 水餃子

の4種類。今回は、ノーマルな焼き餃子といか焼き餃子を注文しました。薄めの小さな皮に包まれたひとくちサイズの餃子がカリッと焼き上げられています。
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(手前が焼き餃子、奥がいか焼き餃子)
焼き餃子のベースの餡は、福岡のひとくち餃子のもっとも大きな特徴でもある玉ねぎをたっぷり使った甘めの餡。ねっとりとした仕上がりになっています。いか焼き餃子には、ベースの餡に細かく刻まれたいかが混ぜ込んであります。いかの食感と風味が良いアクセント。これはビールじゃなくて焼酎との相性も良さそうです。
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(焼酎がすすむすすむ)
これまで巡った老舗店では、えびやいかなど餡に何かを足すというアレンジ餃子は見られなかったので、そういう意味では「ぎょうざ一番」の餃子は、ひとくち餃子の発展系と言えるのかもしれませんね。

今回は、餃子の食べ歩きが主目的だったので他には手を出せませんでしたが、餃子以外にもちょっとしたつまみから、焼き物、鮮魚、ご飯類までメニューがとっても豊富。これも人気の理由なのかもしれません。

 

■中国ルーツの餃子店
ここまで福岡のひとくち餃子の老舗店を中心に一気に紹介してきましたが、これらのお店での餃子の位置付けは、主食というよりもお酒のつまみ。営業時間も夕方から深夜にかけてのお店が多いです。

その一方、福岡には中国本場の主食としての餃子が食べられる実力店も数多く存在することがわかりました。

【8軒目】
中国山東省生まれのモチモチ餃子
「餃子李」(薬院)

福岡県福岡市中央区薬院3-1-11
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40000194/
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次にご紹介する「餃子李」もそんなお店の一つ。薬院駅から徒歩数分というかなりの好立地にあります。

30年ほど前に中国の山東省から来日した店主が、自宅のキッチンで中国仕込みの餃子を一つずつ手作りし、販売し始めたのが「餃子李」の創業のきっかけ。

山東省仕込みのモチモチで厚めの皮で包まれた餃子はボリューム満点。複数人でオーダーをしないと一皿でお腹いっぱいになってしまいます。「餃子李」の餃子の旨さの秘訣はとにかく皮。焼き餃子と水餃子で小麦粉の配分を変えるというこだわりようで、もっちりとした強い弾力がありながら固くはありません。そして小麦の甘みがしっかりと感じられます。
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焼き餃子も美味しかったのですが、強力粉の比率の高い水餃子の弾力は特筆ものです。水餃子は皮が主役の料理だということを再認識されました。
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皮に包まれる餡は焼きと水で共通。豚肉ベースにキャベツ、白菜、ニラなどの野菜を粗みじん切りにしてあり素材の味と食感を生かした実力派です。とてもジューシーなので、うかつに頬張ると中から熱々の攻撃的な肉汁が口の中を襲うので気をつけましょう。

【9軒目】
中国系海鮮餃子が楽しめる中華バル
「マルコキッチン」(大名)

福岡県福岡市中央区大名2-2-44
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40004172/
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もう一軒、山東省関連の餃子専門店をご紹介します。大名にある「マルコキッチン」は、かつて舞鶴にあった海鮮中華専門の人気店「威海」の系列で、チャイニーズバル風のお店です。お店の雰囲気はカジュアルですが、「威海」で活躍していた山東省威海市出身の料理人と特一級麺点師がつくる餃子は一級品。

威海市には中国有数の漁港があり新鮮な魚介類が揚がるため、餃子にも海の幸が使われることが多いのだとか。「マルコキッチン」でもそんな海鮮餃子が食べられます。
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日本では珍しい、鰆の水餃子。厚手ながらも柔らかい食感の皮の中にペースト状の鰆がたっぷりと包まれていて、上品な旨味が特徴。
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さらに珍しいのが海苔の餃子。餡の具材は生海苔とニラ。餃子を頬張ると磯の香りがブワッと口の中に広がります。そして後からニラの風味が追っかけてくる。このコンビネーションは初めて食べました。両方とも驚きの旨さ。質の高い海鮮類が手に入る福岡だからこその餃子なのかもしれませんね。

手延べのモチモチ皮をつかった焼き餃子もオススメ。皮の中には肉汁たっぷりの餡が包まれていて非常に満足度の高い餃子です。

 

■天神餃子総選挙の上位店
ひとくち餃子、鉄なべ餃子、山東省系餃子と厚みのある福岡の餃子文化ですが、最近、新たな餃子の波がきています。それを象徴するのが今年の2月から3月にかけて開催された「天神餃子総選挙」。天神周辺にある餃子店からファン投票による人気トップを決めるというイベントなのですが、これまで福岡になかった自由な発想を展開する新興の餃子店が躍進を遂げました。

最後にこの「天神餃子総選挙」の上位店舗もご紹介したいと思います。

【10軒目】
肉汁注意! 進化系ひとくち餃子
「ピース餃子」(薬院)

福岡県福岡市中央区平尾2-1-24
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40020679/
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まずは、惜しくも2位だった「ピース餃子」から。「ピース餃子」は、天神から少し離れた薬院駅と平尾駅の間ぐらいにある餃子居酒屋です。

「ピース餃子」の餃子は小ぶりなひとくちサイズに仕上げられているものの、これまで紹介してきた老舗店のそれとは大きく異なります。餃子というよりも小籠包に近いかもしれません。

ぷっくりと丸みを帯びた独特の形状の餃子の中には、豚肉中心の餡。スープがたっぷりと練りこまれ、とってもジューシー。肉汁注意のチラシがあるように、知らずに普通の餃子だと思って食べると、熱々のスープで火傷する恐れがあるくらい。

餃子の種類は焼餃子、水餃子といったオーソドックスなものに加えて、ピリ辛の紅油餃子、そしてテールスープに浸ったスープ餃子が用意されています。

焼き餃子は焼き面のカリっとした食感ともっちり皮、そして皮の中から溢れ出てくる熱々の肉汁に驚かされます。餡がねっとりとするまで徹底的に練りこまれているのも特徴的です。

水餃子は、皮の美味しさをアピールしながら、ニラ、ニンニクを使わず、香味野菜の強さを抑えたバランスの良い餃子に仕上がっていました。
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テールスープ餃子と紅油餃子は、餃子に小さな穴をあけてスープやタレを餡に染み込ませてから食べると、格段に餃子の旨味が増すので、ぜひ試してみてください。
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(テールスープ餃子)
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(こちらは紅油餃子)

【11軒目】
天神餃子総選挙グランプリ
「ハカタオノ」(天神)
福岡県福岡市中央区天神1-7-11

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前述の「天神餃子総選挙」で見事グランプリに輝いたのが「ハカタオノ(HAKATA ONO)」。最近、福岡で最も勢いのある飲食店グループの一つONOグループが手がける創作チャイニーズレストランバーです。
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(店内には天神餃子総選挙グランプリの賞状が)
天神の中心地IMSビルの13階にある「ハカタオノ」の店内は、カフェバーのようなオシャレな雰囲気。ランチタイムはビュッフェスタイルで、サラダや惣菜類が選べるので、女性客で賑わっています。
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そんな「ハカタオノ」のフラグシップ的なメニューが「天神餃子総選挙」で優勝した国勝餃子。国遠勝明料理長の名前を冠した国勝餃子は、料理長自らがその手で毎日皮作りから行っている手作り餃子です。
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これまで食べてきたひとくち餃子とも中国系の餃子とも異なるタイプのこの餃子。サイズは一般的な餃子よりも数倍大きく、皮は中国系の餃子よりもかなり薄めにのばされています。サクッとした軽めの食感と、ひだ側のモチモチっとした食感を両立する良質な皮です。
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(モチモチ皮に餡がたっぷり)
そして皮の中には豚肉と野菜のバランスがとれた餡がたっぷりと詰まっています。豚の旨味とニラの香りが印象的。下味がしっかりと付いているので、タレをつけなくても十分に美味しく食べられます。ラー油や柚子胡椒ではなく、辛味味噌をつけるのも特徴的です。

皮にこだわりがあるだけあって、水餃子の実力もなかなかのもの。今回は秋限定の牛肉と三種きのこの水餃子もいただきました。モチモチ皮の中に、きのこをたっぷり使った餡が包まれていて、餃子を頬張ると、口の中にきのこの風味がブワッと広がります。餃子で季節感を感じるというのも、餃子の新しい楽しみ方かもしれません。
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今回は、戦後の満州などからの引揚者を中心に福岡で一大ブームを起こしたひとくち餃子や、中国山東省などからの移住者による中国系の餃子、そして福岡餃子の新しいトレンドなど、福岡に形成されている多層的な餃子文化を一気にご紹介させてもらいましたが、気になるお店は見つかりましたでしょうか?

いずれも他の地域ではなかなか出会うことのない福岡独自の餃子文化が生み出した味なので、実際に現地でハシゴしてみることをお勧めします。

私もこの記事を書いていて、また福岡の餃子を食べに行きたくなっちゃいました。
(文・撮影 塚田亮一)

 

【プロフィール】
塚田亮一(つかだ・りょういち)さん
餃子食べ歩きブログ「東京餃子通信」の編集長。「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。テレビ東京「イチゲンさん 餃子マニアNo.1決定戦」での優勝を始め、「マツコの知らない世界」「ヒルナンデス」などテレビの出演多数。

[関連リンク]
東京餃子通信
http://www.tokyogyoza.net



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