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気鋭の映画監督が移住する理由ともなった、福岡だけの「応援文化」

“福岡のハワイ”とも呼ばれる能古島でメガホンを取ったことをきっかけに、福岡市への移住を決断した映画監督、中島良さん(山梨県出身)。ドラマ『相棒』などを手がける福岡出身の脚本家、入江信吾さんと福岡発のオリジナル映画『なつやすみの巨匠』を制作したことで、すっかり福岡に魅了されてしまったといいます。今回は、そんな中島さんに移住の理由や福岡の魅力についてうかがってきました。

――どうして移住しようと思われたのでしょうか?

中島 都会と田舎が30分圏内に同居していて、都会で暮らしていても、海や山にすぐにアクセスできる地理的な環境が最高だからです。それとご飯がすごく美味しい。ありきたりな理由かもしれませんが、僕の心には深く刺さったんですね。

――決断に迷うことはありませんでしたか?

中島 映画の撮影期間中に滞在した西新がすごく気に入って、今そこに住んでいるんですが、空港から地下鉄で20分という好アクセスにもかかわらず、家賃は1Kで1万8000円。学生街ですから家賃も物価も安いんですね。これなら大きな負担にならずに、東京と福岡の二重拠点生活がはじめられると思ったんです。けっこう気軽に決断することができましたよ。映画の編集作業もMac Proでするようになり、どこでも仕事ができる環境になったことも決断の後押しとなりました。

――東京と福岡では、それぞれどんな生活を送っているのでしょうか?

中島 現在は、「仕事は東京、生活は福岡」という棲み分けで暮らしています。映画の消費地は圧倒的に東京が主役で、映画に出資してくれるスポンサー企業もほとんどが東京ですから、どうしても仕事で東京をハズすことはできないんですね。でも、福岡の人々に向けた今回の映画がどれくらい商業的に成功するかで、このバランスも少し変わってくるかもしれません。

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――福岡のどんなところに惹かれましたか?

中島 やっぱり、一番は人の魅力です。これまで撮影でいろんな地域の方々と関わってきましたが、たとえば、「撮影でどこどこの場所を借りたい」といった協力をお願いするときに、福岡の方たちは本当に快く了承してくれます。クリエイターの仕事は一般社会の仕事とはタイプが違うので理解されづらいことが多いんですが、福岡にはそれを応援してくれる人の良さがあります。

それと今回の映画の撮影では、多くの福岡人に参加していただいたのですが、皆さん本当に一生懸命に演じてくださいました。福岡の人たちには常に成長しようという積極性があるんです。そういった人間味を求めるクリエイターにとって、福岡は本当にいいところだと思います。逆に、個人主義を求めるなら、やはり東京ということになりますけどね。

――今年の博多祇園山笠に参加されたということですが、経験してみていかがでしたか?

中島 山笠の人たちは、祭りに命をかけている人たちなんです。大人の男が命をかけるとすごいパワーが発揮されるということを間近で見ることができました。山笠をかく姿は本当に男らしい。これまで僕は地域社会と触れ合ってきた経験がなかったんですが、32歳にして初めて触れてみると、祭りから生まれる地縁感が魅力的に映るんですね。街の文化が僕のクリエイティビティを刺激してくれるように感じるんです。

――それでは最後に、福岡移住を考えているクリエイターにメッセージをお願いします。

中島 福岡には、クリエイターを「頑張れ!」と応援してくれる文化があります。『なつやすみの巨匠』も積極的に協力してくれる人がたくさんいてくれたおかげで、素晴らしいクオリティの映画を作り上げることができました。ネガティブな考え方をする人がいないんですね。街から、人から、たくさんのパワーをもらって仕事に取り組みたい人には最高の環境です。


【プロフィール】
中島良(なかじま・りょう)さん

1983年、山梨県生まれ。 第29回ぴあフィルムフェスティバルに応募した長編自主映画『俺たちの世界』が審査員特別賞を含む3賞を受賞。同作は、第7回ニューヨーク・アジア映画祭でも最優秀新人作品賞を受賞し、世界7カ国の映画祭で上映されるなど、世界中で高い評価を得ている。2009年に入江信吾さんが脚本を担当した映画『RISE UP』で商業映画デビュー。オール福岡ロケという画期的なメイド・イン・フクオカ映画『なつやすみの巨匠』が最新作。



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