HASH#FUKUOKA

CLOSE

「今求められているのは“攻めの移住”」まずは試住という選択肢も 「あたらしい移住」イベントレポート

10月3日(土)、福岡への移住をサポートする「福岡移住計画」がレバレッジコンサルティング株式会社の本田直之さんと共同で、イベント「あたらしい移住~脱東京―>福岡行~スペシャルナイト」を開催しました。

151019 datsu_01.JPG

東京・六本木ヒルズにて開催された同イベントには、ライブビューイング会場も設けられ、新しい移住の形を模索する参加者の熱気に包まれました。

福岡市・糸島市・北九州市のキーパーソンも交えつつ、「古い価値観や常識に縛られないあたらしい働き方」とはなんなのか?をテーマに掲げ、最先端の移住の形を語り合った本イベント。その中でキーワードとなったのは“攻めの移住”。今、各地で求められているチャレンジ意欲を持った移住者について、熱いトークが繰り広げられました。

ビジネスと理想のライフスタイルの両立を叶える攻めの移住

151019 datsu_02.JPG

前半は、『脱東京 仕事と遊びの垣根をなくす、あたらしい移住』の著者で、レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役の本田直之さんと、現在北海道に生活拠点を据えながら東京で「NEXT WEEKEND」を主催する、ライフスタイルプロデューサーの村上萌さんが登壇。自身の生活スタイルを例に、現在増えている移住の形について語りました。

「ここ5年ほど、僕の周りでも東京でバリバリ仕事をしていた人が国内移住するケースが増えてきました。移住というとかつては、のんびり田舎暮らしを……というイメージがありましたが、今は“攻めの移住”をする人が多いですね」(本田さん)

“攻めの移住”とは、ビジネスの経験を持った上で、家族を含めた理想のライフスタイル・生き方を実現するための移住だという本田さん。自身も一年の半分をハワイで、残りを日本とヨーロッパで過ごす生活を送り、ビジネスとライフスタイルの充実を実現しています。

本田さんは、現代の情報テクノロジーの進化が、移住の決断を大きく後押ししてくれるといいます。その点は、北海道を拠点に東京で会社を運営している村上さんも同意見で、週に3回ほどはSkypeを使って会議をしているそう。たとえ夫の転勤が多く、次はどこに住むのかわからない状況であっても「やっていける」という自信になっていると語りました。

移住者が持つ強みとは?

151019 datsu_03.JPG

また、こうした移住の形は、移住先のコミュニティにとってもプラスになると本田さん。「東京と地元の両方を知っていることが、これからの移住者の強み」だといいます。

村上さんは各地の伝統工芸品や食材をセレクトし、独自の解釈で紹介する取り組みを行っていますが、「ずっと地元に住んでいる人は、その土地の良さになかなか気づけないもの。ところが、移住者は外からの目線で良さを発見できるんです」と、移住者ならではの強みを口にします。

「東京は発表会のような場所だと思っています。今住んでいる土地でできることを考え実行し、ときどき東京というステージで発表する。そう考えると面白いことが見えてくるんです」(村上さん)

福岡は「受け入れてくれる土壌がある」街 まずは飛び込んでみよう

ビジネスと理想のライフスタイルを実現する“攻めの移住”。では、どのような観点で移住先を選ぶべきなのでしょうか?

本田さんは、「アメリカでいえば、ポートランドやブルックリンのように、街のオリジナリティを特徴づけている地域が面白い。地域の面白さは今まで忘れられていただけで、今後もっと注目されていくと思います」と語った上で、「移住先を選ぶための18クライテリア(ライフスタイルバリューの高い街の条件)」として「物価が安い」「人がいい」「アクセスがいい」「自然がある」「コンパクトシティ」といった条件を示します。

そのなかでも、「受け入れてくれる土壌がある」ことは、“攻めの移住”を成功させる大きな要素になるとのこと。その例として紹介したのが、島根県の隠岐の島にある海士町です。

「海士町は実は破綻寸前までいった街でした。ところが今、人口の一割は若い移住者。その理由は、“ないものはない”と開き直り、定住はしてくれなくてもいいから、チャレンジしたい人に来て欲しい、と打ち出したところにあるんです」(本田さん)

本田さんは、福岡市も同様にチャレンジ精神のある人を応援する街だと感じているそう。福岡市は若い起業家をサポートする「スタートアップ_カフェ」の運営や、IT・デジタルクリエイターたちの移住をサポートする「福岡クリエイティブキャンプ」など、行政が率先して土壌作りに取り組んでいます。

そうした街で求められているのは、「仕事をくださいという姿勢ではなく、チャレンジする意欲のある人」と本田さんは語ります。これまでは移住=定住だというイメージがありましたが、本田さんは「人生は壮大な実験」だと思えば、移住のハードルも下がるといいます。

「いきなり完全に移住しなくてもいいんです。実際にその土地と行き来してみるなりして、うまくいきそうだったらやってみればいい。ここ10年ほどで情報テクノロジーが進化して、その実験ができるいい時代になりました。ちょっと勇気を出して、飛び込んでみることが大事だと思います」(本田さん)

街と一緒に成長してくれる移住者を求めている

151019 datsu_04.JPG

後半は、福岡県の中でも個性的な盛り上がりを見せている福岡市・糸島市・北九州市の3市から、代表者3名を招いてのクロストーク。それぞれの街の魅力や特色を紹介しつつ、移住者に求める姿勢や移住のアドバイスなどを語りました。

151019 datsu_05.JPG

まず、福岡市代表で登壇したのは、福岡クリエイティブキャンプを担当している山下龍二郎さん(福岡市役所企業誘致課)。福岡市は官民一体となり、特にスタートアップ企業や、IT・デジタル産業の振興に力を入れている街。移住者にもチャレンジ意欲を求めているとアピールします。

「ちょっとのんびりしたいから移住する、という人よりは、現在成長過程にある福岡市内の企業と一緒になって自分自身成長したいという、いわば“攻めの移住者”が求められているように思います。」(山下さん)

また、街の特徴として、人口が毎年増え続けている成長都市である点や、若い人、学生、女性が多い点を紹介。移住にあたっては生活コストも気になるところですが、家賃の安さ、深夜タクシーで会社から家までかかる料金、飲み会にかかる料金の話題まで赤裸々に説明。参加者の興味が集中した点でもありました。

151019 datsu_06.JPG

移住前に収入のベースを作っておくことの大切さ

前半で“攻めの移住”というキーワードが出ましたが、やはり移住先で仕事があるか、すぐに稼げるようになるか?という部分には不安がつきもの。

151019 datsu_07.JPG

その点については、糸島市を代表し、株式会社ランサーズCOOの足立和久さんがアドバイス。クラウドソーシング事業の先駆者であるランサーズは現在、西日本新聞や福岡移住計画などと共同で、糸島市にいながら全国の仕事を受けられる移住サポート事業を行っています。

福岡出身で、地元情報誌の編集者として働いた経験を持つ足立さんは、まず福岡と東京との仕事の違いについて、「優れたビジネスの提案ももちろんあるが、福岡ではまず一緒にお酒を飲んでから仕事が始まるということも多い(笑)。そういう意味では、すぐにフィットする仕事に出会うまでに、多少のリードタイムがあるのが事実です」と話します。

その上で、移住先での収入の不安を軽減するためのアドバイスとして、「移住の前にクラウドソーシングなどで、例えば5万円でも10万円でも最低限の収入ベースを作った上で移住される方が多いです。移住先で一から仕事を探すのではなく、あらかじめ移住先に持っていける仕事を作っておくことは大事だと思います」と語りました。

北九州市からは、市内の遊休不動産をリノベーションし、エリア開発を行っている株式会社北九州家守舎代表取締役の遠矢弘毅さんが登壇。

151019 datsu_08.JPG

「北九州には今のところ、福岡市のように仕事や住む場所を用意して移住者を受け入れる、という状況はありません。しかしその分、自分で何かをやりたい!と思う意欲を持った人にとっては、挑戦しがいのある本当に面白い街」とアピールしました。

大切なのは人と土地との縁 「移住」の前に「試住」してみるという選択

この3都市クロストークのモデレーターを務めたのは、福岡出身で、「life hacker(日本版)」編集長の米田智彦さん。前半で本田さんが「人生は壮大な実験」だと話したように、まずは「移住」の前に「試住」をしてみてはとアドバイスします。

「LCCや情報ツールが発達した現代は『大移動時代』。実際に地域のコミュニティと関わってみた上で、住む街を選ぶことができると思います。例えば、今ドイツのベルリンではクロイツベルクという街がヒップですし、スウェーデンのストックホルムならセーデルマルムがヒップといったように、福岡県の中でも、福岡市・糸島市・北九州市、ほかにも筑後や筑豊といった面白い街がある。実際に行って選んでみてほしい」(米田さん)

移住という決断をする際、人・土地との縁が大きな要素になると米田さん。特に、出会った人に導かれることが大事になってくるといいます。「移住のメリット・デメリットの両方を知った上で考え、まずは実際に街を訪れたり、名刺交換をしたりしてご縁を作ること。『移住』を現実のプランに入れて、繰り返してみては」と締めくくりました。

今回のイベントでキーワードとなった「攻めの移住」、そして「試住」という選択肢。IT・デジタルクリエイター人材の移住を促進する「福岡クリエイティブキャンプ」や、「福岡移住計画」では移住後のサポートも行っており、こうしたチャレンジを後押ししてくれるはずです。


【関連リンク】
福岡クリエイティブキャンプ2015 公式サイト
http://fcc.city.fukuoka.lg.jp/

福岡移住計画公式サイト
http://fukuoka-ijyu.jp/



WEEKLY RANKING